鉄ちゃんのホテル「フォーシーズンズ丸の内」
2005年 8 月13日(土)
このロケーションだったら、ホテルは上層階、オフィスが中層階以下、というのが一般的だと思う。実際、上層階のオフィスを訪ねた時に実感した。東京駅の広い線路の向こうに高さが統一された丸の内のビル群が連なり、さらにその奥には皇居の緑が美しかった。そして皇居を取り巻く大手町や半蔵門、赤坂の高層ホテルを望むことができる。実に良い眺めなのだ。…これは逆だろう、と。
チェックインの後に、「あれ?」とは思った。7階にあるフロントのさらに下にゲストルームがあるのだ。ゲストルームは6階から3階。部屋の壁一面の大きな窓からは新幹線をはじめ、日本で最も列車の運行が多いであろう東京駅の線路が目前に見える。次々と電車が行き交う。このホテルに宿泊するのは“鉄道マニア”だけではないはず。とは言え、これも一興かとしばらく電車を眺めてみる。これはこれで悪くはない。新幹線、踊り子号、山手線、それぞれに(逆)車窓の風景が違う。人々の表情が違う。…なるほど。
部屋も44㎡と広く、壁には大画面の液晶TV。シャワーブースも独立。設備としては合格。そんな部屋から夕暮れに浮かぶ電車のシルエット、車内の明かり、信号機、…普段あまり接することのない風景を眺める。妙な旅愁が溢れてくる。東京駅なのに。しかし、真のマニアではない二人は電車見物はすぐに飽き、ジムに向かう。こぢんまりとしたジムでしばらく走った後で、スパへ。小さいながらジェットバス、和風モダン旅館にあるような風呂、スチームバスなどがコンパクトにまとまっている。客室数が全部で57室という規模のホテルとしては充分。東京駅に隣接する場所とはとても思えない。都内2番目のフォーシーズンズホテルは、最初の椿山荘同様に、ちょっとしたリゾート気分。
ただし、爽やかに目覚めた朝に、ルームサービスのエッグ・ベネディクトを食べながら、出張に向かう人々の視線を感じる(ような気がする)のは、ちょっと微妙。ひとまわり大きいプレミアルーム(65㎡)であれば、国際フォーラムの美しい造形美が目の前、らしい。新幹線を眺めるのにさほどの幸せを感じない方は、こちらの方がお勧めだろう。